
美容室でのクレーム対応!予防策や対応例とは?
美容室を運営していくにあたり、小さなミスやお客様とのトラブルなどからクレームへ発展してしまう可能性があります。クレームが発生してしまった後の対応や事前に対策しておく事で大事に至らない様にしましょう。
1クレームの種類
美容室でのクレームは、2つのパターンに分けられます。
- 通常のトラブル
- クレーマーの疑いがあるトラブル
カラー剤がお客様の衣服に付いてしまったり、施術中にコテが皮膚にあたって火傷を負わせてしまったり、注意していてもトラブルが発生してしまう事もあります。また、金銭目的の悪質なクレーマーに遭遇してしまう事もあるでしょう。
「ヘアスタイルが気に入らない」など精神的被害を訴えるクレームや、「薬剤で皮膚がかぶれた」などの身体的被害を訴えるクレームもあり、これらのクレームに対する要求は「施術代の返金」や「慰謝料の請求」となる事もあります。
2クレームの予防策
クレームが起きてしまってからではどうにもならない事もあり、事前に予防しておく事が大切です。美容室を開業する時から、クレームへの予防策を立てておきましょう。
- 損害保険への加入
- 接客力を磨く
- 同意書にサインをもらう
思いがけずお客様に怪我を負わせてしまったり、衣服や貴重品を汚してしまったりと美容室側で損害保険に加入していれば、保険で対応できる事が出てきます。トラブルが起きた時に未加入だったとなれば大変な事になります。
また、お客様との間でトラブルが発生しそうになった際の対応を、全てのスタッフに周知しておく必要があります。対応が良ければ、お客様もクレームにせずとも帰られる場合があります。被害の大きさ問わず、少しでも迅速に対応できるシミュレーションをしておきましょう。
3美容室でよくあるクレームと対応例
『思っていた仕上がりと違う!』
→施術前にどれだけカウンセリングをしても、やはり美容師とお客様の意見が食い違ってしまうことは度々発生します。カットの場合は切り過ぎてしまうと元に戻せませんが、カラーやパーマの場合はなるべく無料でお直しをするようにしましょう。「返金して欲しい!」という要望にすぐに応えるのではなく、まずは返金以外の方法で収まらないかどうかを考えて対応することが大切。
『予約したのに待ち時間が長い!』
→前のお客様の施術が押している、スタッフが急遽休みになって人手が足りない、などの理由で30分以上次のお客様を待たせてしまうことも…。待たせてしまうことが決まった時点で「予約をいただいたのに申し訳ありません、こちらの都合で、あと〇分程お待ちいただけますか?」と丁寧にお詫びをして、飲み物などを出して待ってもらうようにしましょう。もし別の時間への変更希望を受けた場合には、しっかりと謝罪をした上で希望の日時への変更対応をしましょう。
『予約内容以外のメニューをすすめられるのが嫌!』
→カラーの予約をしたお客様に少し高いカラー剤をすすめる、新登場のトリートメントをすすめるなどの勧誘は、美容師にとっては親切で行っていたとしても、お客様にとってはストレスになることが多々。「嫌な気持ちにさせてしまい失礼いたしました」と謝罪をし、お客様のために行った行動であることも伝えて理解していただくようにしましょう。
『カラー剤が洋服についている・・・』
→カラー剤がお客様の服に付着してしまうことは美容師側の責任のため、まずは謝罪をしましょう。洋服のクリーニング代をサロンで負担し、それでもカラー剤が落ちない場合は洋服代をサロンでお支払いすることになります。
クロスをしっかりと被せれば起こらないことなので、カラーやブリーチの施術の場合は必ずクロスが正しく装着されているかを確認することも未然に防ぐコツです。
『コテやアイロンが皮膚にあたった』
→仕上げの巻き髪やストレートアイロンなどの使用で、美容師側の不手際で火傷をさせてしまえば美容師側の責任のため、まずは謝罪をしてお客様の患部を冷やす処置をおこないましょう。中には施術中に眠っているお客様もいるため、コテやアイロンなどの使用時にはひと声かけておくと未然に防ぐ事ができます。
『パーマ液やカラー剤で皮膚がかぶれた』
→パーマやカラーを行う際は、必ず「これまでに痛みやかぶれがなかったか」をヒアリングします。その上でかぶれてしまったら、すぐに薬液を洗い流し皮膚科へお連れします。他のお客様が大丈夫だからとヒアリングを怠らず、施術の前にきちんと話をする事がポイント。事前に丁寧に伝えておけば「私がかぶれた事ないと言ったから」とお客様から述べて下さる事もあります。
『サロンの看板が倒れて怪我をした』
→たまたまお客様がいた場所にメニューボードなどの看板が倒れてしまい怪我を負わせてしまった場合には、サロン側の責任のため速やかに謝罪をして怪我の状態を確認します。怪我の度合いによっては病院にお連れするようにします。事故が起きた旨を保険会社に連絡します。看板や照明など、内装工事の時点でしっかり固定しておくようにしましょう。
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4悪質なクレーマーへの対応策
クレームの中には、金銭目的や理不尽と感じるような悪質な要求をしてくるお客様もいらっしゃいます。その場合、すみやかにオーナーや店長へ報告し責任者が対応するようにしましょう。また、悪質なクレーマーへの対応策としては次のようにしていきます。
- 他のお客様のご迷惑にならない場所で話したいと伝える
- その場での回答は避ける
- 弁護士や保険会社に相談したいので個人情報が必要になる旨を伝える
- 気分を害したことを詫びる
クレームの内容が、美容室側に非があるとは限りません。トラブルの原因がどちらにあるのかを把握する様にして、「お客様を不快にさせてしまい申し訳ありません。」と伝えます。美容室側に非がないのに全面的に謝罪してしまえば、その後の話し合いで不利になってしまうかもしれません。
また、その場で回答をするのではなく弁護士や保険会社と相談する旨をお伝えし、お客様の名前や住所、連絡先の個人情報を頂くようにします。クレーマーによる被害はスタッフの精神面にもダメージを与えます。オーナーや店長は、スタッフの心のケアも忘れずに行いましょう。
5賠償責任保険の種類と注意点
美容室でのトラブル対応に必要な賠償責任保険は、3つに分けられます。各種保険の対象が異なるので、事前に備えておきましょう。
- 施設所有(管理)者賠償責任保険
- 衣服の汚れや火傷など、サロン内で起きたトラブルに対応
- 生産物賠償責任保険
- 販売したシャンプーで頭皮がかぶれたなど、サロン退店後に起きたトラブルに対応
- 保管物賠償責任保険
- 荷物や貴重品の破損や紛失など、サロンでお預かりした物におけるトラブルに対応
また、トラブルの内容によっては補償がきかないものもあるので注意が必要です。保険会社や美容組合では、掛け金が安いとすべての補償をカバーしていない可能性があるので、保険の加入時にあらゆるトラブルを想定して加入しましょう。上記3種類の保険は、最低限付帯している保険なのか確認してください。