
内装工事にかかる時間と費用は?
サロンの立地や物件が決まったら内装工事の依頼をし、サロンコンセプトに基づくデザインの検討や打ち合わせを重ね、実際の工事に進んでいきます。内装工事をどのような会社に依頼するかによってもかかる費用や時間が変わり、デザイン性などにも違いがあります。「費用・時間・デザイン」どこを重視するか考えながら進めていきましょう。
1内装工事費用の相場
サロンの規模が大きくなるにつれ内装工事費用も高くなります。以前のテナントが使っていた状態で譲りうける居抜き物件と、内装が全くない状態で天井や壁がむき出しになっているスケルトン物件とで工事費用が変わります。開業するサロンにとって一番良い立地と物件でスタートさせたいところですね。
居抜き物件
居抜き物件とは、以前のテナントが使っていたシャンプー台や施術用のベッドといった設備や内装がそのまま残っている状態。
坪単価:10~30万円
一部居抜き物件
一部居抜き物件とは、以前のテナントが使っていたシャンプー台などの設備が一部残っている状態で、一部を取り壊して使用する状態。
坪単価:30~70万円
スケルトン物件
スケルトン物件とは、シャンプー台などの設備だけでなく照明や壁紙などの内装も全く残っていない状態で、天井や壁がむき出しになっている状態。
坪単価:30~70万円
一般的な相場としては坪単価30~50万円程度といったところ。内装工事にあてる費用を少しでも減らしたいのなら、居抜き物件を選ぶと良いですよ。以前に使用していた状態で引き継げるので、工事が必要ない部分もあり費用を抑えられます。
スケルトン物件を選んだ場合には、全てにおいて工事が必要なので費用と時間はそれなりにかかります。ですが、スケルトン物件の場合、一から自由にサロンデザインができるのが最大のメリットと言えます。また、坪数が多いほど単価は安くなる傾向にもあるようです。
例)スケルトン物件の坪数別工事費用
- 10坪以下
- 坪単価 約38万円
- 10坪~15坪
- 坪単価 約35万円
- 15坪~20坪
- 坪単価 約34万円
- 20坪以上
- 坪単価 約29万円
関連記事:開業にはどれくらいの初期費用がかかる?
2スケルトン物件の工程別工事費用例
スケルトン物件の内装工事を例に、各工程でどのくらいの費用がかかるか見ていきましょう。もちろん、選ぶ施工会社によって価格は異なりますが参考にしてみてください。
■15坪の美容室の場合
- 仮設工事
- 約10万円
- 軽量工事
- 約60万円
- 床上げ・内装工事
- 約155万円
- 家具工事
- 約15万円
- 建具工事
- 約40万円
- 設備工事
- 約50万円
- 電気工事
- 約30万円
- その他諸経費
- 約40万円
- 総額
- 約400万円
美容室の場合、シャンプー台などの取り付けも必要になるのでその分の費用は別にかかる事が多いです。
■15坪のエステサロンの場合
- 仮設・解体工事
- 約14万円
- 軽量鉄骨・ボード工事
- 約55万円
- 建具工事
- 約44万円
- 給排水工事
- 約9万円
- 電気工事
- 約11万円
- 内装工事
- 約57万円
- 塗装工事
- 約4万円
- 看板工事
- 約9万円
- その他諸経費
- 約50万円
- 総額
- 約253万円
エステサロンは完全個室を用いている事が多く、パーテーションを取り付けるボード工事費用が高くなる傾向にあります。
3内装工事にかかる期間
工事費用と同様に、居抜き物件かスケルトン物件かによって工事期間も変わってきます。だいたいの目安を頭に入れておき、実際に施工を依頼する会社と入念に打ち合わせを重ねておきましょう。施工会社が提示してきたスケジュールだとサロンオープンに間に合わないなんて事にならないように、ゆとりを持って内装工事を検討しましょう。
居抜き物件
壁紙張替え程度の工事であれば、3日から1週間以内
スケルトン物件
15坪から30坪で、2週間から3週間程
内装の装飾にこだわった特殊な工事がある場合はそれ以上かかることも。
内装工事にかかる期間は、一般的には1ヶ月以内といったところ。それよりも大幅に伸びたり、内装工事がなかなか進まず明らかにおかしいと感じた場合には、意図的に工期を伸ばしている悪徳業者の可能性もあるので、注意が必要です。
内装工事に入る前に打ち合わせなどを重ね、施工会社との信頼関係を作り、どんな人に工事を担当してもらうのか知っておけると良いですね。
4内装工事の流れ
内装費用の上限を決める
予期せぬ部分で費用が発生することもあり、計画通りにいかないこともあります。とくに内装工事のデザインに費用が多くかかる場合があるので、内装工事費用は少し多めに設定しておくと良いです。
おおまかなデザインを決める
お客様のターゲット層にあわせたコンセプトを考え、「ここはこうしたい!」などと絶対に取り入れたい部分や、「こうなるのだけはイヤ!」などデザインしていく上で避けてほしい事をまとめておくと、デザイナーとスムーズに打ち合わせができます。
設計会社を決める
数多くある設計会社から1社に絞るのは至難の業。美容業界の設計に関するノウハウがあるか、美容業界の内装設計経験が豊富かどうか確認し、安心して任せられる設計会社を選んでいきましょう。
設計会社にイメージを伝える
打ち合わせでは、おおまかなデザインやコンセプトをわかりやすく伝えられるように準備して臨みましょう。文章にまとめておいたり、イメージに近い写真を持っていくと伝わりやすいですよ。
デザイン決定とコストを確認する
設計会社に伝えた要望がきちんと反映さえているか確認し、その上で費用を確認します。もっと要望があれば修正してもらうことになりますが、要望が多くなるにつれ費用もかかることをお忘れなく。費用に関する事はトラブルに繋がりやすいので、こまめに確認をしておくと良いです。
施工会社を決める
デザインや設計図が固まれば、施工会社を探し工事スタートになります。価格の適正化をはかるため、いくつかの施工会社に見積もりを出してもらい判断しましょう。内装設計会社が紹介してくれることもあります。
内装工事スタート
設計会社のデザイン設計が終わり、施工会社によって工事が進められます。工事には2~3週間、長くて1か月程度かかるとみておきましょう。内装工事中には、現場に赴き細かな打ち合わせをするようにして「自分のイメージと違う!」という事が起こらないようにしましょう。その都度、確認しながら工事を進めてもらえば、きっと思い描く素敵なサロンが出来上がりますよ。
5依頼する会社による違い
内装工事を依頼する会社には様々な種類があり、内装のデザインや設計のみを専門的に請け負う会社もあれば、デザインや設計と施工も請け負う会社も存在します。工事の施工だけを請け負う会社もあり、それぞれメリット・デメリットがあるため何を重視したいかによって選ぶ会社は変わります。
設計士(デザイナー)が所属し、デザインを起こし図面を作成します。デザイン性のある提案に対する付加価値が発生するため、工事とは別に設計費やデザイン費が必要となります。
メリット
・デザイン性の高い設計
デメリット
・総工費が高額になりやすい
・工事完了まで時間がかかる
自社で職人を抱えていない場合は下請けや職人へ依頼します。設計・施工を一括して行うため、設計から工事までの流れがスムーズに進みます。
メリット
・予算に応じた提案ができる
・設計開始から工事完了までの期間が短い
デメリット
・デザイン性の高いものは出来ない可能性がある
施工メインの会社で設計士(デザイナー)を抱えていません。直接依頼するため、発注する人自身が「どのような工事をするか」を明確にしておく必要があります。
メリット
・現場対応力が優れている
・デザインや監修価格が安い
デメリット
・提案力、設計力が弱い